森博嗣『スカイ・クロラ』……映画とは違うラストに……


スカイ・クロラ (中公文庫)
中央公論新社
森 博嗣

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 森博嗣の『スカイ・クロラ』という本。この本は“スカイ・クロラ”シリーズの5冊目。シリーズとして最初に出したものが時系列で最後という面白いシリーズ。こういうことをさらりとやってしまうのが森博嗣という作家だ。今までにも何回か再読してきたが、こうしてシリーズ全体を一気に読んだのは今回が初めての経験。これまでそれぞれの作品の間隔が空き過ぎて全体が全然見えていなかった。それを痛感した読書だった。

 こうしてシリーズ全体を読んでいると、主役はクサナギスイトだというのがよく分かる。視点がクサナギ自身の時もあったし、他者から見たクサナギが描かれる時もあった。だけど、通して描かれるのは何だかんだクサナギその人だった。

 戦闘機乗りとしてのクサナギ。

 上官としてのクサナギ。

 キルドレしてのクサナギ。

 女性としてのクサナギ。

 母親、人間…………。

 だからこそ、シリーズとしてのラストは、あーでなければいけないのだ。

 映画版とは違ったラスト。

 映画は映画で“スカイ・クロラ”単体だからこそ成立したラストだと思う。

 (まっ、映画のことはいい)

 とにかく、このシリーズで特に好きだったのは、空を飛ぶシーンだ。テンポよくスピーディな文章は実際の動きをトレースできなかったとしても、十分に想像をかき立てる。踊るという表現。好きだなぁ~~。

 そして、背景にあるいろいろなことを知っていると、さらに想像は飛躍する。それはティーチャのことだったり、クリタのことだったり、キルドレのことだったりする。どこまで自分が理解しているのか(おそらく50%もあればいいだろう)、それは微妙なところなんだが、それでも合っていようが間違っていようがどうでもいいんだ。それが楽しい。

 まだ短編集の方は読んでいない。近いうちに読むのは確かだけど、もうひと回りシリーズを読んでみるのもいいかもと思ったりもする。楽しみは尽きない。

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